参考にすべきDX(デジタルトランスフォーメーション)の事例11選とDX化の必要性

ビジネス業界で大きなトレンドとなっているDX。経営課題のひとつとして取り組んでいる企業も多く、DX化の流れは今後さらに加速していくと考えられます。
しかし、「DXというワードは知っているものの、具体的になにをすれば良いのかがかわからない」といった企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、そのような担当者や経営者に向けて、DXの事例やDX化に向けて企業が取り組むべきことを紹介します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは「Digital Transformation」の略称であり、提唱されたのは2004年にまでさかのぼります。
当時、スウェーデンのウメオ大学で教授を務めていたエリック・ストルターマン氏は、「テクノロジーの発達が人々の生活をより良くすること」をDXと定義しました。
日本では2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を公表したことでDXという言葉が定着した背景があります。
経済産業省ではDXのことを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
すなわち、日本のビジネス業界におけるDXとは、データおよびデジタル技術によってビジネスモデルや企業文化、風土さえも変革することを意味します。
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DXとデジタル化・IT化の違い
DXはデジタル技術との関連が深いことから、デジタル化やIT化と同一視されやすく、誤解している方も少なくありません。
しかし、DXとデジタル化、IT化は異なる概念であり、明確な違いがあります。
デジタル化やIT化とは、特定の作業や業務プロセスをデジタル技術やITに置き換えることを指します。
たとえば、書面やFAXでやり取りしていた業務をメールやチャットに置き換えることはデジタル化・IT化の代表的な一例といえるでしょう。
これに対し、DXはさらに踏み込んで、メールやチャット以外にもオンライン会議システムやクラウドツール、RPAなどを活用し、働き方そのものを変革していくことといえます。
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政府がDXを推進する理由とは

では、なぜ経済産業省ではDXレポートを大々的に発表し、DXを推進する立場となったのでしょうか。
その背景には、企業が活用している既存システムの老朽化と、IT人材の慢性的な不足があります。
経済産業省の調査では、約8割にのぼる企業のシステムが老朽化していることがわかっています。
これをそのまま放置しておいた場合、システムの維持やメンテナンスに莫大なコストがかかるほか、グローバル化が進む中で企業の競争力がさらに低下していくことが予想されるのです。
老朽化したシステムを維持するためには、運用や保守に携わるIT人材も必要ですが、人手不足が慢性化する状況のなかではシステムが維持できなくなる企業も出てくるでしょう。
日本全体でこのような企業が増えた場合、2025年から2030年の5年間で最大12兆円もの経済損失が生じると試算されています。
このような問題を「2025年の崖」とよびますが、政府ではこの状況を打破するためにDX化へと舵をきったのです。
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DX戦略に基づいた事例11選

DXの概念は上記で紹介したとおりですが、これを聞いても具体的な事例がイメージしにくいと感じた方も多いはずです。
そこで、実際にDX戦略を策定し、DX化に向けて取り組んでいる企業の事例を紹介します。
1.Amazon
ネット通販大手のAmazonは、通販業界においてDX化を実現した典型例といえるでしょう。
Amazonが登場する以前の通販といえば、雑誌やテレビ、ラジオといった媒体で集客し、電話またはFAXでオーダーをとるのが一般的でした。
しかし、Amazonはインターネットの黎明期から書籍のネット通販に着手し、その後事業を全世界へと拡大し、今ではクラウドサービスの「AWS」をはじめ、さまざまな事業を手掛ける企業へと成長しました。
2.Uber
日本ではフードデリバリーでもおなじみのUber。米国ではタクシー事業も手掛け、ユーザー数を着実に増やしています。
スマホ1つでオーダーできることはもちろんですが、誰でも手軽にドライバーや配達員として従事できるプラットフォームを構築したことで、従来のビジネスモデルを大きく変革することに成功しています。
3.Netflix
DVDを物理的にレンタルするというビジネスモデルから、ストリーミングサービスとしてビジネスモデルの転換を図ったのがNetfllixです。
従来はDVD1枚あたりのレンタル料金が決められていましたが、月額定額で見放題というサービスで多くのユーザーを獲得することに成功しています。
4.メルカリ
日本企業のDX事例として代表的なのがメルカリです。
誰でも自由に価格を設定して出品でき、オンラインでフリーマーケットを楽しめるのがメルカリの強みです。スマホさえあればその場で商品を撮影し、わずか数分で出品が完了するという手軽さも魅力。
大手宅配事業者やコンビニと提携することで、発送にかかる手間も低減しています。
5.ユニメイト
ユニメイトは、さまざまな職種に対応したユニフォームのレンタルや販売事業を展開している企業です。
ユニフォームにIDタグを装着することで着用履歴を管理できるほか、万が一紛失や盗難に遭った際にも追跡でき、セキュリティ対策も万全。AIを活用した自動採寸のサービスも提供しています。
6.ファミリーマート
コンビニ大手のファミリーマートでは、独自のQRコード決済サービス「ファミペイ」やセルフレジの導入を積極的に手掛け、他社に先行してDXを手掛けています。
また、店内の防犯カメラを活用してAIによる動線チェックを行い、商品の陳列や仕入れの参考にも役立てています。
7.LINE
メッセージアプリとして定着したLINEは、スマートフォンが社会に浸透しはじめた2012年に登場しました。
既読機能やスタンプなど、アプリそのものの使いやすさ・手軽さを追求したことで多くのユーザー獲得に成功。
その後も「LINE Pay」をはじめとしたさまざまなサービスを打ち出し、独自のビジネスモデルを確立することになりました。
8.ソニー損保
ソニー損保では、AIがドライバーの運転特性を認識し、推定した事故リスクをもとに保険料をキャッシュバックするというプランを提供しています。
専用デバイスをシガーソケットに装着し、スマートフォンと連動することで日頃の運転特性を割り出します。
9.クボタ
農業用機械メーカーの大手であるクボタは、AIを用いた画像診断により、生産ラインにおける検査を自動化したり、高精度なGPSを活用した無人トラクタの開発を行ったりしています。
将来的には農業機械とIT技術を融合させ、営農を効率化・支援するためのシステムの開発を目指しており、農業人口の減少といった問題解決に貢献します。
10.鹿島建設
建設大手の鹿島建設では、現場作業の省人化・自動化を実現するためのロボット開発を進めています。
さらに、ドローンや作業員向けのアシストスーツなども組み合わせ、各システムや機器が連携しながら効率化を図る「鹿島スマート生産ビジョン」の実現に向けて積極的にDX化に取り組んでいます。
11.北九州市
行政のDX化として先進的な取組を行っているのが北九州市です。
デジタル市役所の実現に向けて、マイナンバーカードの普及促進や各種行政手続きのオンライン化、セキュリティ対策の徹底、さらにはAI・RPAの利用促進などを通し、住民サービスの向上と職員の働き方改革を実現しようとしています。
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DX化を進めるうえで企業が行うべきこと

上記で紹介したDXの取り組みは大規模なものが多く、特に資金力に乏しい中小企業では現実的ではないと感じることもあるでしょう。
しかし、DXの実現に向けて重要なのは、スモールスタートを心がけることです。
DXとは、ビジネスモデルや企業文化そのものを変革することだと紹介しましたが、これを実現するにはデジタル化やIT化から着手していくことが重要といえるでしょう。
たとえば、紙の伝票をやり取りしていたものをPDFファイルに変換する、紙の帳簿からExcelやスプレッドシートでの管理に移行するなど、小さなことでも自社でできることは多くあるはずです。
また、なぜ自社はDX化に取り組まなければならないのか、目的を明確にすることも重要です。
デジタル化やIT化、そしてDX化というのはあくまでも手段であり、それらを活用して解決したい目的が明確化されていなければ、DXが実現できないまま頓挫してしまう可能性もあるのです。
企業に求められるDX人材になるには
DXを実現するために、高度なスキルをもちDXに精通した人材の育成や採用に踏み切っている企業も少なくありません。
では、労働者の立場から考えたとき、そのようなDX人材になるためには何が必要なのでしょうか。
まず考えられるのは、IT分野に関するスキルや資格の取得です。
システム開発に役立つプログラミングの知識やネットワーク・サーバーに関連する知識、セキュリティ対策に関連する知識など、一口にITに分野といってもさまざまな知識が求められます。
まずは自分自身の強みを明確化するために、ひとつのジャンルに絞って取り組んでみるのが良いでしょう。
同時に、スキルだけでなくDX人材としてのマインドも重要です。
ITの世界は特に変化が激しく、数年前に習得した技術やスキルが通用しなくなることも珍しくありません。
そのため、つねに最新の情報を収集する姿勢を身につけ、継続的にスキルアップのための勉強をするのを習慣づけることが重要です。
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今後多くの企業から需要が高まると期待されるDX人材ですが、独学で資格取得を目指し、スキルアップをすることもできますが、体系的に効率よく学ぶのであればJ Career Schoolもおすすめです。
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また、メンターによるサポートも受けられることから、途中で挫折しそうな場合でも安心です。
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まとめ
DXはこの先、多くの企業にとって重大な経営課題となる可能性があります。
そのため、DX人材の需要は高まることが予想されるでしょう。
従業員は「うちは中小企業だし、DXは取り組まなくても問題ないだろう」と考えるのではなく、まずはITスキルを身につけ、企業に求められるDX人材へとキャリアアップを目指しましょう。
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