Python(パイソン)で出来る機械学習とはなにか|サンプルコードつきで実践解説
AIの開発分野において活用されることの多いPython(パイソン)というプログラミング言語があります。
しかし、プログラミングと聞いた時点で「難しそう」、「何から始めればよいのか分からない」と不安に感じる方も多いでしょう。
本記事では、機械学習とは何か基礎的な内容を紹介するとともに、Pythonで機械学習を実行するための基本的な手順も解説します。
機械学習とはなにか?
機械学習とは一言でいえば、データをもとにコンピュータが自ら学習し、一定の法則やルール、パターンなどを導き出す技術のことです。
具体的には、膨大な画像データを分析する「画像認識」、人間が話す言葉を聞き分ける「音声認識」、テキストデータの中から情報を分析する「テキストマイニング」などが挙げられます。
たとえば、スマートフォンやタブレット端末などにも搭載されている顔認証システムには画像認識の技術が応用されており、ユーザーの顔の画像を学習データとして蓄積していくことで、髪型や顔の形がわずかに変化しても認証できるようになっています。
また、スマートスピーカーやカーナビなどは音声での操作ができますが、これには音声認識の技術が不可欠です。
このように、機械学習と聞くと難しいように感じられますが、実は私たちの身近なところにも活用されている技術なのです。
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機械学習が求められている理由と将来性
機械学習はAIのコア技術といっても過言ではないことから、大きな注目を集めており将来性が期待されています。
顔認証システムや音声案内を実現するうえで機械学習は不可欠であり、スマートフォンの定番機能として定着しました。しかし、これらはスマートフォンだけにとどまらず、たとえばスマートスピーカーやカーナビ、オフィスや店舗に設置されているカメラなどにも欠かせない機能です。
また、AIとともに次世代のテクノロジーとして注目されているIoTでは、さまざまなデータを大量に収集し、産業分野に役立てることも期待されています。たとえば、農業では天候や気温、湿度などのデータをIoT機器によって収集し、AIでデータ分析をすることで収量予測や散布すべき農薬の種類、量などを割り出すこともできます。
AIを活用したシステムやアプリケーションなどを開発するためには、機械学習が不可欠であり、多くの企業が目指しているDXを実現するうえでも機械学習の知見をもったエンジニアの需要は今後さらに高まっていくと考えられるのです。
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なぜPython(パイソン)は機械学習に向いているのか?
機械学習は目的に応じてプログラムを設計し開発を進めていきますが、ここで多く採用されているのがPythonとよばれるプログラミング言語です。
まず、大前提として機械学習はPythonでなければ開発できない、というものではありません。たとえば、CやJavaなどの言語でも機械学習に応用することは可能です。では、なぜ多くのエンジニアはPythonで機械学習を行っているのでしょうか。
シンプルな構文でわかりやすい
1つ目の理由として挙げられるのが、プログラミング言語そのもののわかりやすさです。Pythonは数あるプログラミング言語のなかでもシンプルな構文で、初心者にとっても習得しやすい特徴があります。
機械学習ではプログラミングスキルはもちろんのこと、統計学や数学といった専門的な知識も習得しなければならず、複数のスキルを効率的に吸収するためにもプログラミングのシンプルさというのは重要な要素といえるのです。
ライブラリが充実している
Pythonが機械学習に用いられる決定的な理由として挙げられるのが、ライブラリが豊富であることです。ライブラリとは、目的や用途に応じて複数のコードを組み合わせたブロックのようなもので、これを組み合わせることでコードを書く手間を最小限に省くことができるのです。
さらに、多くのPythonエンジニアがいることで、システム開発で分からない部分があればコミュニティのなかでアドバイスをもらえるような環境も整っており、安心して開発に取り組めるというのも大きなメリットです。
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Python(パイソン)を使った機械学習の例
校閲・校正の自動化
出版物の原稿を公開する前の段階で、誤字脱字や固有名詞の誤り、言い回しの違いなどを確認し、訂正する校閲・校正は不可欠な作業です。高度な判断が求められることから、従来は人の手によってでしか作業できない分野でした。
しかし、大手印刷会社では、校閲・校正の作業を機械学習によって自動化することに成功しました。すべての誤用や誤変換などを指摘できるとは限らず、最終的には人の目による検査を行っているものの、作業の大半を自動化できたことで人的コストの削減に貢献しています。
売上・来店客数予測
飲食店やスーパー、コンビニなど、食料品を扱う企業において、利益を確保しやすくするためには食品ロスの量を減らす必要があります。
そこで、ある企業では季節や天候、その他さまざまな要因を分析し、どの程度の来店客数が見込めるのかを機械学習によって判断できる仕組みを開発しました。これにより、食品ロスの低減に貢献することはもちろん、従業員のシフト配置なども効率化し利益率を向上させています。
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Python(パイソン)を使った機械学習の実際のやり方
Pythonで機械学習を実行する場合、どのような手順で進めれば良いのでしょうか。代表的な手順を5つの工程に分けて紹介します。
ライブラリのインストール
まずはPythonで使用するライブラリをインストールします。機械学習を実行するうえで使いやすいライブラリとしては「Pandas」や「matplotlib」、「NumPy」などが挙げられます。
Windowsの場合はコマンドプロンプト、Macの場合はターミナルに以下のサンプルコードを入力することでインストールできます。
Pandas
$ pip install numpy
matplotlib
$ pip install matplotlib
NumPy
$ pip install numpy
データを集める
機械学習に必要なデータを集め、以下のコードを参考にデータをインポートします。
f = open(‘ファイル名')
data = f.read()
具体的な収集方法としては、国や自治体、企業などが公開しているオープンデータ、統計情報などを活用する方法のほか、自社がもっている独自データなどがあり、用途に応じて最適なデータを選択します。
たとえば、売上や来店客数の予測を実行する場合には、過去のPOSデータや天候情報、店舗周辺で行われたイベントの日程情報などを収集しておきます。
また、集めたデータについて、大まかにどのような情報が読み取れるのか、おおよその傾向も把握しておくことで機械学習アルゴリズムが検討しやすくなります。
データの前処理を行う
Pythonでの分析や解析をスムーズに行えるよう、ファイル内に記載されたデータの体裁およびフォーマットを加工する作業をデータの前処理とよびます。
たとえば、数字の全角半角やスペースの有無、カンマの有無、フォントの違いなどを統一したり、データの記載場所を分けたりする作業が挙げられます。
データの前処理に応用できるコードとしては、以下が一例として挙げられます。
データの先頭数行を表示
df.head()
データの末尾数行を表示
df.tail()
データの最大値、最小値、平均値、標準偏差を表示
df.describe()
機械学習アルゴリズムの選択
機械学習で実行するアルゴリズムを検討・選択します。アルゴリズムとは、機械学習で解決したい問題に合わせて解く手順や計算式を体系化したものです。
たとえば、上記で示した売上や来店客数の予測を行う場合には、POSデータから売上が高い日付を割り出し、天候情報やイベントとの関連性を結びつけることで、売上が伸びる可能性がある日をピックアップすることができるでしょう。
学習結果の測定
機械学習によって割り出した予測の精度を測定するために、学習結果を評価します。予測した売上に対し、当日の売上結果はどう着地したのか、その差分を計算することで機械学習アルゴリズムで改善すべきところはないかが見えてきます。
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Pythonは人気のプログラミング言語であるだけに、さまざまなスクールがカリキュラムを提供しています。そのため、「どのスクールを選べば良いのか分からない」と感じる方も多いでしょう。
プログラミングの初心者が一からPythonを学ぶのであれば、オンライン完結型のスクール「J Career School」がおすすめです。
初心者からでもわかりやすい体系的な内容
J Career Schoolとは、Web系やクリエイト系、プログラミングといったさまざまな専門スキルを身につけられるオンライン特化型のスクールです。Pythonの基礎から応用までを体系的に学べるほか、Pythonとの関連が深いAI全般の知識も身につけられます。
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単にPythonのスキルが身につけられるだけでなく、短期間での資格取得も可能です。
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まとめ
ライブラリが豊富でシンプルな構文のPythonは、機械学習に多く活用されているプログラミング言語です。
プログラミング初心者にとっては機械学習と聞くと難しいイメージをもたれがちですが、今回紹介した機械学習の基本的な手順をもとに実行していけば簡単な処理を実行できます。
はじめのうちから複雑な処理をさせようとすると混乱するため、まずは簡単なアルゴリズムを検討し、実際にPythonで動かしてみるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。
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